『真白』
真っ白な世界
雪ではない
ただただ どこまでも白いところに
一人で座っていた
誰もいない
「おーい、誰かいますかー」
叫んだつもりだったが
私の声は白に吸い込まれた
目の端に さっきまでなかった黒い点がみえた
「(おーい、誰かいますかー)」
叫んだつもりなのに何も聞こえない
私は声が出なくなったのだろうか
それとも耳が聞こえなくなったのだろうか
不安になって 何回も叫んだ
しかし全てが白に吸い込まれてしまった
黒い点はだんだん大きくなっていく
怖くてしかたなかった
ふと気がつけば
自分の足がつま先からだんだん白くなっていく
手も顔も体全部が白に吸い込まれ
見えない力に引っ張られて
体が軽くなり風を感じていた
もう あの黒は見えない
急に解き放たれた
私はなぜかスクランブル交差点の真ん中に立っていた