〜ひそやかに咲く名も無き花〜

思考整理、時々ポエマー。自作です。著作権フリーではありません。

夢物語シリーズ③

『真白』


真っ白な世界
雪ではない
ただただ どこまでも白いところに
一人で座っていた
誰もいない


「おーい、誰かいますかー」

叫んだつもりだったが
私の声は白に吸い込まれた


目の端に さっきまでなかった黒い点がみえた


「(おーい、誰かいますかー)」
叫んだつもりなのに何も聞こえない


私は声が出なくなったのだろうか
それとも耳が聞こえなくなったのだろうか

不安になって 何回も叫んだ
しかし全てが白に吸い込まれてしまった

 

黒い点はだんだん大きくなっていく
怖くてしかたなかった


ふと気がつけば
自分の足がつま先からだんだん白くなっていく
手も顔も体全部が白に吸い込まれ
見えない力に引っ張られて
体が軽くなり風を感じていた
もう あの黒は見えない


急に解き放たれた
私はなぜかスクランブル交差点の真ん中に立っていた